日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):胃癌検診の時代的変遷
血液検査による胃癌検診―リスク検診の現状と問題点を巡って―
井上 泉岡 政志一瀬 雅夫
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 117 巻 6 号 p. 477-484

詳細
抄録

H.pylori感染胃炎を中核とする胃癌発生の自然史に関する理解がすすみ,癌発生リスクの把握が可能になって来た.その結果,胃癌検診効率化を視野に,血液検査によるH.pylori感染胃炎ステージ診断・胃癌リスク評価に基づくリスク検診が検討されている.いまだ理論的な段階に留まるものであるが,今後,安定したシステムの登場が期待される.“いわゆるABC検診”に関しては,受診者の不利益を回避する上で,現状のシステムの導入には慎重であるべきで,実施可能なシステム・責任ある体制の構築のために,充分な検討が必要である.その他,本稿では血液検体による胃癌診断の現状・検診導入の可能性について概説する.

著者関連情報
© 2020 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top