2019 年 116 巻 10 号 p. 773-779
GERD(Gastroesophageal reflux disease),FD(Functional dyspepsia),IBS(Irritable bowel syndrome),さらに慢性便秘症などの機能性消化管障害は,これからの消化器疾患の診療と研究の中心となる可能性がある.口腔から肛門に至る消化管にはさまざまな機能があり,各臓器の機能に応じた機能検査が考案され,診断や病態の解明,さらに治療効果の評価に用いられている.しかしながら,現在,本邦で保険適用下で行える検査は嚥下運動の評価,24時間食道内pHモニタリングや食道内圧検査,下部消化管では肛門内圧検査に限られている.今後,増加すると考えられるSIBO(small intestinal bacterial overgrowth)や胆汁性下痢など,新たな疾患も増加する可能性もあり,本邦で消化管の機能検査が実臨床で行える体制作りが望まれる.