日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原著
炎症性腸疾患に対する中心静脈栄養療法における末梢挿入型中心静脈カテーテルの有用性
千葉 宏文遠藤 克哉泉山 泰宏中野 健岡本 大祐市川 遼永井 博松本 信横山 直信山本 勝利下山 雄丞内藤 健夫小野寺 基之日下 順平本 圭一郎黒羽 正剛金澤 義丈木村 智哉角田 洋一木内 喜孝下瀬川 徹
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2017 年 114 巻 9 号 p. 1639-1648

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抄録

完全静脈栄養(TPN)を行った当科の炎症性腸疾患(IBD)137例を対象に,ブラッドアクセスとして従来型の中心静脈カテーテル(CVC)を選択した56例と,末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)を選択した81例の臨床経過を,後ろ向きに調査した.穿刺時合併症はCVCで気胸を2例(3.6%)認めたが,PICCでは認めなかった.PICCはCVCに比し,目的達成抜去率が有意に高く,カテーテル関連血流感染(CRBSI)発生率が有意に低く,CRBSI発生までの期間も有意に長かった.本研究は単施設・後ろ向きの検討だが,IBD患者に対しPICCはCVCに比して安全性が高く,TPNをより計画的に完遂できる可能性が高い.

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© 2017 (一財) 日本消化器病学会
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