日本調理科学会誌
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アブラナ科野菜漬物(カブ,ハクサイ)のイソチオシアネート生成に関する塩化ナトリウム(NaCl)およびアスコルビン酸の影響
宮澤 紀子阿部 雅子木村 典代松岡 寛樹田中 進森光 康次郎中村 宜督綾部 園子小澤 好夫
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2016 年 49 巻 2 号 p. 138-146

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抄録

 野菜を常に摂取すると生活習慣病のリスクを軽減することが知られている。日本では,グルコシノレートを含む多くのアブラナ科野菜が漬物や煮物さらに浅漬けとして消費されている。グルコシノレートは組織が損傷するとミロシナーゼにより独特なフレーバーと発がん抑制作用を有するイソチオシアネートに加水分解される。
 NaClとアスコルビン酸(VC)がミロシナーゼ活性に与える影響について検討した結果,1%NaClと0.1%VC濃度が最もミロシナーゼ活性を賦活した。一方,NaClとVCの共存においては,活性は抑制されたが,その抑制率はVC濃度が増加するに従い減少した。
 さらに,漬物中のイソチオシアネート生成へのNaClの影響を検討するために,1, 2および3%NaCl濃度のカブとハクサイの浅漬けを調製した。GC-MS分析により3-ブテニル,4-ペンテニル,フェネチルイソチオシアネートを検出した。これらは,カブ,ハクサイ共に3%NaCl濃度で最も多く生成し,0.4%VCの添加は,1.4~1.6倍イソチオシアネートの生成を増大させた。官能評価により2%NaCl濃度における浅漬けが好まれた。

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© 2016 一般社団法人日本調理科学会
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