人工臓器
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V-A ECMOにおける経頭蓋超音波検査(TCD)によるHigh Intensity Transient Signal (HITS)検出の試み
榛沢 和彦大関 一諸 久永渡辺 弘林 純一江口 昭治成冨 博章
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1997 年 26 巻 2 号 p. 359-363

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抄録

脳塞栓症の危険性の高い症例及びV-A ECMOの経頭蓋超音波検査(TCD)によるHigh Intensity Transient Signal (HITS)検出を試みた。HITSはTC2020 (EME)、2MHzプローブを用い、中大脳動脈で15分間自動検出した。HITSは健常人では0個(n=20)、脳梗塞以外の神経疾患で平均0.5個(n=17)、人工弁置換術以外の開心術後では0.08個(n=11)、脳梗塞のうち抗血小板剤内服群(3個:n=22)では抗血小板剤非服用患者(13個:n=20)に比べて有意に少なかった(p<0.01)。人工弁置換患者のうち術後脳梗塞を発症した患者(83個(n=8))は脳梗塞既往の無い患者(7個:n=42)に比して有意に多かった(p<0.01)。V-V ECMOでは0(n=1)、V-A ECMOでは118個(n=6、ACT=200)で、またACTの延長で減少を認めた。HITSは脳塞栓症の危険性の高い群で有意に多く検出され、抗凝固療法で減少すること等からV-A ECMOにおける抗凝固療法の指標となりうると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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