ネットワークポリマー
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主鎖にオキセタニル基と側鎖にメタクリロイル基或いはカルボキシル基を有するデュアルキュアー型硬化性樹脂の合成とその性質
能坂 麻美工藤 宏人西久保 忠臣
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2007 年 28 巻 1 号 p. 19-31

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抄録

オキセタニル基を有するビスエポキシ化合物とジカルボン酸化合物との重付加反応により, 主鎖にオキセタニル基, 側鎖に水酸基を有するポリエステル (P-OX) を合成し, この側鎖水酸基にメタクリロイル基, 或いはカルボキシル基の導入を検討した。その結果, カチオン重合性基とラジカル重合性基を有するデュアルキュアー型ポリマー (P-OX-MA) およびカチオン重合性基と熱硬化反応性基を有するデュアルキュアー型ポリマー (P-OX-CA) を合成した。P-OX-MAのカチオン重合は, 光酸発生剤を用いて薄膜中で検討し, ラジカル重合は光ラジカル開始剤を用いて同様に検討した。その結果, いずれの場合においても, 反応はよく進行し, 溶媒に不溶の硬化薄膜が得られた。また, 光酸発生剤および光ラジカル開始剤の両方を用いて反応を行い, 溶媒に不溶の硬化薄膜が得られることを明らかとした。次に, P-OX-CAの熱硬化反応は, 触媒としてテトラフェニルホスホニウムイオダイド (TPPI) を用いて同様に検討し, 溶媒に不溶の硬化薄膜が得られた。さらに, 光酸発生剤とTPPIの両方を用いて検討し, 硬化薄膜が得られることを明らかとした。得られたそれぞれの硬化薄膜の熱的特性 (Tg) は光カチオン重合, 光ラジカル重合および熱硬化反応を単独で行った場合と比較して, 硬化方法を併用させた場合高くなることが判明し, 硬化薄膜の密度がより高くなることが示唆された。

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