都市計画論文集
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景観紛争を乗り越えて実践される鞆の浦の町並み保全型まちづくりの現状と計画的課題
主体関係の変化と現在の意見に着目して
阿部 由香里松井 大輔西川 亮石山 千代
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2021 年 56 巻 3 号 p. 508-515

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抄録

本研究は景観紛争を乗り越えて実践される、鞆の浦における町並み保全型まちづくりの展開と、現在の意見の全体像を明らかにしたものである。結論は以下の通りである。(1) 埋め立て架橋計画は、行政・住民による町並み保全に大きな影響を与えてきた。しかしながら、それらは外部専門家からの協力を得ながら、継続的に進められてきた。(2) 現在、町並み保存に関わる住民主体の保存組織は、複数存在している。しかしそれらは目的や活動内容が異なり、お互いの活動内容・状況を知らない中ではあるが、役割分担がされているといえる。(3) 景観紛争時に発生した主体間の関係が起因となり、保存組織間での情報共有の不足に関わる不安が多く挙げられた。現状では、共通・類似している意見が多いが、それぞれが課題に感じている優先順位や課題に対する解決手法に差異がみられる。(4) 鞆の浦では組織間の情報共有の促進や、活動のマネジメントを行う組織づくりが必要である。

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