2019 年 54 巻 3 号 p. 938-944
本研究は2016年イタリア中部地震の復興期に焦点をあて、主に住宅・市街地供給および市街地復旧段階における関係組織間の連携に着目するものである。本論では近年法規制の改正を伴い変化を見せているイタリアの地方自治の特徴を整理したうえで、2016年の中部地震によって浮き彫りとなった復興プロセスの特徴と課題を分析した。マルケ州およびカメリーノでの異なるレベルでの調査分析より、中央政府と基礎自治体レベルでの復興プロセスが並行的に進んでおり、その過程において、住民生活の課題が浮き彫りになる中、基礎自治体レベルでは大学等の新たな主体との連携が重要になっていることが明らかとなった。