2009 年 44.3 巻 p. 67-72
都市部を中心に幹線道路の渋滞回避のために住宅地内の道路へ流入する「抜け道」交通が各地で見られ、沿道住民の生活環境の悪化を招いている。この対策として、道路ネットワークの改良などの抜本的な手法もあるが、抜け道として利用されている道路の改良により、ドライバーの意識を変更するという方法も考えられる。本研究では、ドライバーの意識に着目し、抜け道利用されにくい街路空間とはどのようなものであるのかということを検討した。岡山市内での意識調査から、抜け道利用を容認する意識は、街路空間の特性から導き出されてくることが明らかになり、また、ドライバーの認識に道路の物理的空間要素のどの要素が大きく影響してくるかということも明らかになった。この結果は道路空間の改良によってドライバーの抜け道利用をしても良いという意識をコントロールし得ることを示唆しており、道路空間の整備による抜け道交通抑制の可能性を示したものであると考えられる。