2016 年 23 巻 4 号 p. 551-554
肛門痛,仙骨部痛を主訴に来院した患者に対して,陰部神経ブロックを行い陰部神経痛と診断し,パルス高周波法が奏効した症例を経験したので報告する.症例は70歳,女性.3カ月前から誘因なく仙骨部・肛門背側の自発痛が出現した.痛みは座位で増悪し,立位と仰臥位では消失した.直腸診により仙骨前面に圧痛を認めたことから陰部神経痛を疑い,陰部神経ブロックを試みたところ,痛みは一時的に消失した.再現性をもって陰部神経ブロックの効果を認めたため,陰部神経に42℃・180秒のパルス高周波法を行った.治療後から,痛みの軽減を認め,座位をとることが可能になった.その後,少量のプレガバリンとノルトリプチリンの内服のみを継続しているが,日常生活への支障はなくなった.