抄録
精神疾患を有する患者においては、心臓突然死が多いことが知られている。特に統合失調症、うつ病と不安障害に焦点を当て、虚血性心疾患と致死的不整脈に関する研究をまとめた。これらの疾患は、循環障害の発症に関わる機序を持ち、さらに治療に用いる向精神薬も発症のリスクを高める可能性があることが知られている。精神疾患に特徴的な遺伝的要因、自律神経障害、炎症反応、ストレス反応、不健康な生活習慣等が関与している。また、向精神薬によるモノアミンへの影響やナトリウムチャネル、カリウムチャネルの遮断作用も発症に関連している。定期的な心電図検査と予防対策を実施し、精神疾患を有する患者の身体的健康管理を行うことが重要である。