日本食品工学会誌
Online ISSN : 1884-5924
Print ISSN : 1345-7942
ISSN-L : 1345-7942
包装餅製造工場洗米排水のUF処理における操作条件の検討
ラフマン アイラ伊東 章城斗 志夫片岡 龍磨大西 正人渡辺 敦夫
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 7 巻 3 号 p. 189-195

詳細
抄録

前報で包装餅工場から排出される洗米等排水から溶質等成分を膜技術により分離することで排水を浄化・再生し, 透過液を洗米等用水としてリサイクルすることを目的に, 膜の選定に関する研究を行った.そして, 分画分子量15万Daのポリエーテルスルフォン系の中空糸限外濾過 (UF) 膜モジュールを用いることが適当であることを報告した.
本研究では上記のUF膜モジュールを使用し, 洗米等次数別排水をUF処理し, それぞれの排水の80%を透過液として回収する際の操作条件について検討した.操作圧力および膜面線速を変化させ, 各操作条件における透過流束, 透過流束維持率, 水洗浄回復率および洗浄回復率への影響について検討し, 洗米等排水のUF処理に適した操作条件を決定した.
3~5次洗米排水および浸漬排水に比較して, 1次および2次洗米排水の透過流束は著しく低く, 膜の洗浄回復性も低いことがわかった.そこで, 1次, 2次洗米排水は本研究ではリサイクルの対象から外すことにした.
線速0.9m・s-1において, 3~5次洗米排水を洗浄次数別にUF処理する場合は圧力0.02MPa, 浸漬排水の場合は圧力0.1MPaで限界透過流束に達し, それ以上圧力をかけても透過流束が増加しなかった.濾過圧力を増加させると, 透過流束維持率, 水洗浄回復率および洗剤洗浄回復率が低くなった.
透過流束は線速に依存し, 線速の増加につれて増加したが, 洗米排水 (圧力0.02MPaにおいて) および浸漬排水 (圧力0.1MPaにおいて) ともに, 線速0.9m・s-1においてほぼ定常値に達し, これ以上の線速では増加の割合はごく僅かであった.
透過流束と洗浄回復性に対しては, 濾過圧力が大きく影響するのに比べて, 膜面線速の影響は小さかった.以上の結果から3~5次洗米排水の再生・リサイクルに適した操作条件は圧力0.02MPa, 線速0.9m・s-1で, 浸漬排水の場合は圧力0.1MPa, 線速0.9m・s-1であることが明らかになった.

著者関連情報
© 日本食品工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top