心臓
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第13回臨床不整脈研究会 冠静脈洞巨大憩室からの高周波通電により副伝導路離断に成功したWPW症候群の1例
阿部 純子小林 義典舘岡 克彦谷口 宏史宮内 瑞穂岩崎 雄樹森田 典成林 明聡大村 和子平山 悦之加藤 貴雄高野 照夫
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2001 年 33 巻 Supplement5 号 p. 46-50

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抄録

症例は32歳女性.幼少時より動悸発作自覚,10歳時WPW症候群と診断.今回,動悸発作に対する精査加療目的で入院.体表心電図でデルタ波はI誘導で陽性,II誘導で陰性,V1誘導でR/S<1.心臓超音波検査では,器質的疾患の存在は示唆されなかった.電気生理学的検査では冠静脈洞(CS)内に留置した多極カテーテルにて心房,心室刺激および房室回帰性頻拍中の心房および心室最早期興奮部位を左側後中隔領域に認めた. C S 造影を行ったところ, C S入口部より1cmの部位に径約2×3cm大の憩室をCS本幹の下方に認めた.憩室内のマッピングでは頸部~中部の比較的広範囲で副伝導路電位(KP)が観察された.最も高振幅のKPが認められた憩室頸部から高周波通電を施行,通電開始後約2.6秒で副伝導路伝導の途絶が認められた.冠静脈洞巨大憩室近傍に副伝導路が存在しカテーテルアブレーションにより離断に成功した顕在性WPW症候群の1例を報告する.

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