2023 年 65 巻 3 号 p. 214-228
粘膜下腫瘍(subepithelial tumor;SET)は日常臨床でしばしば遭遇する疾患の一つである.EUSは腫瘍径や局在層,内部エコーレベル,内部エコーパターン,辺縁の形状などの観察が可能であり,SETの診断にとって不可欠な検査の一つだが,間葉系腫瘍をEUS所見のみで診断することは困難である.確定診断のためには組織診や免疫染色が必要なものの,delleを伴う病変を除くと正常粘膜で覆われているため,内視鏡下生検では腫瘍組織を得ることはできない.そのため,ボーリング生検や超音波内視鏡下穿刺吸引法/生検法(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration;EUS-FNA/endoscopic ultrasound-guided fine needle biopsy;EUS-FNB),粘膜切開生検(mucosal incision-assisted biopsy;MIAB)など,様々な組織採取法が行われている.本稿では,これまでの臨床研究の成績を中心に,胃SETに対するEUS-FNA/BとMIABについて概説する.