2022 年 64 巻 8 号 p. 1482-1489
粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)表面の粘膜を切開し,生検鉗子を用いて露出した病変から目視下に直接組織を採取する粘膜切開生検(mucosal incision-assisted biopsy:MIAB)は,病理診断のgold standardであるEUS-FNAに比し遜色ない診断能を有し,EUS-FNAで採取困難な小型のSMTに対しても高い組織採取率を示す有用な手段である.高周波デバイスがあれば施行可能であるため,特に消化管内視鏡治療医には技術的ハードルが低く,アプローチしやすい手技であるといえる.しかしながら現時点ではエビデンスが十分とはいえず,多数例での有用性評価,長期経過も含めた安全性の確認および手技の標準化が望まれる.