2018 年 60 巻 1 号 p. 5-13
除菌後に発見される胃がんのほとんどは,除菌前のピロリ感染胃粘膜を母地として発生し,除菌治療により二次的修飾を受けた病変である.分化型がんにおける最も典型的な内視鏡像は,発赤した表面陥凹型病変であり,組織学的には腫瘍表層に低異型度な円柱上皮が出現することが特徴である.これらの特性により,除菌後胃がんの内視鏡的存在診断は困難な場合があり,粘膜下浸潤がんとして発見される例も稀ではない.除菌後胃がんを正確に診断することは極めて重要であり,その臨床的重要性は急速に増大している.内視鏡診断医は,除菌後胃がんの特性を正しく理解し検査に臨む必要がある.