2018 年 60 巻 10 号 p. 2275-2283
大腸CT検査が報告されてから20年余りが経過した.その間,CT機器は多列化・高速化が進み,以前とは比較にならないような高画質なCT画像が得られるようになった.大腸CT検査は,内視鏡の挿入やバリウムの注入が不要であり,検査時間も短いため,一般的に被験者の負担が少ないのが利点とされる.また大腸内視鏡検査のように高度の熟練を必要としない,重篤な合併症が少ない,等の利点もある.タギングを含む腸管前処置や撮影手法の進歩に伴い,多数の大規模臨床試験で検査精度は担保されている.本邦の大腸がん死亡者数は増え続けている一方で,精検受診率は低迷しており,大腸CT検査の有効活用が期待される.
本検査は2012年から健康保険にも適応となり,被ばく低減技術や前処置の低減の進歩が著しい.近い将来,さらに安全で受容性,精度ともに高い大腸スクリーニング検査法として確立されると考えられる.