生体医工学
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足部3次元解析による中足部回転モーメントの評価システムの開発
山下 和彦山下 知子阿多 信吾佐藤 満
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 109_2

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抄録

[背景] 扁平足や外反母趾などの足部変形は歩行機能を阻害する.足部のバイオメカニクスに着目すると,中足部を構成する舟状骨高や足底圧分布から足部特性が計測されている.中足部は上下運動のみではなく3次元的に動作する.そこで本研究では,スマートフォンを用いて3次元的に足部骨格を計測し,中足部に加わる回転モーメント評価システムを開発することを目的とした.[方法] 対象者は中高年の989名(39-89歳)とした.提案する中足部回転モーメントは本システムで抽出する舟状骨の足部中心線からの距離(モーメントアーム)と体重から導出した.そして中足部回転モーメントと足部骨格の変形の相関を求めた.中足部回転モーメントは体重の影響を受けるため,BMI別に解析を行った.[結果] 静止立位時の中足部回転モーメントは7~15 Nmと導出された.中足部回転モーメントの要素である舟状骨のモーメントアームはBMIが大きくことで増大した.さらに中足部回転モーメントは足部の骨格のずれと BMIが大きくなることで相関が高まった.[考察] 中足部回転モーメントと足部骨格の変形には関連があることが明らかになった.閉鎖運動連鎖(CKC)の観点から中足部の衝撃吸収機能は変形性膝関節症などの関節疾患と関係すると予想され,中足部回転モーメントとの関連が考えられる.以上より,足部骨格の3次元的な特徴量計測の意義が示唆された.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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