日本口腔インプラント学会誌
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特集 口腔機能回復から全身の健康へ 4学会の連携と目指す方向性
超高齢社会におけるインプラント補綴歯科治療:咀嚼機能回復の波及効果とデータベースを基盤とした術後管理の可能性
馬場 一美安部 友佳
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2022 年 35 巻 3 号 p. 170-176

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抄録

我が国の疾病構造は少子高齢化に伴い大きく変化し,医療には,生まれてきた命を大切に育み,そして長くなった人生をより良く生きること,つまり健康寿命の延伸という大きな課題が突きつけられている.公益社団法人日本補綴歯科学会はいち早く「咬合と咀嚼がつくる健康長寿」をスローガンとし,きたるべき超高齢社会に備えてきた.2020年に開催した第129回学術大会では要支援,要介護を視野に入れた補綴歯科治療のあり方について,シンポジウム「食力向上による健康寿命の延伸:補綴歯科の意義」を日本学術会議と共催した.その後,公益社団法人日本老年精神医学会と共同でECCOプロジェクトを立ち上げ,咀嚼機能回復,食支援,栄養摂取を介した認知症対策という社会的に重要な課題に挑んでいる.

併せて,認知症の発症やその他の全身疾患により要介護,要支援となった場合の補綴歯科治療のあり方,つまり補綴歯科治療後の合理的な長期的管理についても取り組んでいる.そのなかで,三次元形態デジタルデータベースを活用したデータベース基盤型補綴歯科治療と呼ばれる,術後管理も含めた補綴歯科治療の合理化・省力化を提案してきた.

本稿では超高齢社会における補綴歯科治療について,認知機能低下あるいは認知症発症の予防において担う役割やその可能性について,また長期的な術後管理におけるデジタルデンティストリーの役割に焦点を当てて考察する.

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© 2022 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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