日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
膵頭十二指腸切除後の仮性動脈瘤出血に対してStent-Assisted Coilingを施行した3例
仲野 哲矢皆川 昌広高野 可赴滝沢 一泰若井 俊文高野 徹黒崎 功
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2014 年 34 巻 8 号 p. 1445-1449

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抄録

膵頭十二指腸切除術(以下,PD)後の仮性動脈瘤出血は致死的合併症の一つである。経カテーテル的動脈塞栓術が第一選択の治療とされるが,肝不全,肝膿瘍の危険性を回避するため,近年では肝血流を維持した上で止血可能なStent-assisted coiling(以下,SAC)を用いられることがある。今回,PD術後の仮性動脈瘤に対しSACを施行した3症例を経験したので,その有用性と問題点について報告する。1例目は肝膵同時切除後に仮性動脈瘤を認めたが経過観察とし,治療の遅れがあった。2例目は仮性動脈瘤の部位に関して誤認があった。3症例目は準備に時間がかかったもののPD術後仮性動脈瘤出血に対してSACを用いて治療し得た。いずれの症例もSAC後に肝不全は認めていない。PD後の仮性動脈瘤出血には積極的な治療と,放射線科医との情報共有が欠かせないと考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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