糖尿病
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酢酸クロルマジノンが原因と思われた糖尿病性ケトアシドーシスの1例
中村 典雄鳴河 宗聡朝日 寿実山崎 勝也佐藤 啓手丸 理恵浦風 雅春笹岡 利安大角 誠治小林 正
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1998 年 41 巻 10 号 p. 923-928

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抄録

症例は84歳の男性, 前立腺癌にてホルモン療法施行中であった. 来院時血糖値928mg/dl, 尿中ケトン体強陽性, 著明な代謝性アシドーシスを認め, また胸部X線上右上肺野に浸潤影も認め糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) に肺炎を合併しているものと考えた. インスリン持続静注, 輸液, 抗生剤にて状態は改善した. DKAの誘因として, 肺炎に加えて, 入院までの経過から, 前立腺癌治療のため内服中の酢酸クロルマジノン (CMA) の関与が考えられた. 近年高齢化とともに前立腺疾患が増加しており, CMA服用の際は, 糖代謝の厳重な観察が必要と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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