糖尿病
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症例報告
糖尿病性ケトアシドーシス治療中に無症候性心筋障害を呈した緩徐進行1型糖尿病の1例
藤井 優尚伊藤 慶熊谷 亮片倉 幸乃村松 愛子大石 悠太野牛 宏晃
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2019 年 62 巻 4 号 p. 220-225

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抄録

緩徐進行1型糖尿病の65歳男性.3日前から胃腸炎で食事摂取せず,2日前にインスリンを中断し,口渇著明で救急搬送された.血糖1029 mg/dL,HbA1c 10.8 %,pH 6.884,総ケトン体17168 μmol/L,K 7.9 mEq/L,P 10.4 mg/dLから糖尿病性ケトアシドーシスと診断.19時間後,pH 7.413,K 4.3 mEq/Lに改善したが,P 1.0 mg/dLと低値であった.同時に,無症状だがモニターでST上昇を認め,12誘導心電図から急性心筋梗塞が疑われた.冠動脈カテーテル検査で有意狭窄はなく,EF 30 %でびまん性に左室壁運動が低下していた.たこつぼ型心筋症としては非典型的であり,無症候性心筋障害と診断した.過去に1型糖尿病に関する同様の報告があり,ウイルス感染に伴う急性心筋炎や電解質や代謝の急激な変化が原因と考えられた.

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© 2019 一般社団法人 日本糖尿病学会
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