日本小児外科学会雑誌
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症例報告
当院NICUで1年間に発生した新生児胃破裂5件に関する検討
鳥飼 源史武藤 充野口 啓幸杉田 光士郎松久保 眞町頭 成郎山本 剛士木部 匡也内藤 喜樹茨 聡
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2021 年 57 巻 3 号 p. 625-630

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抄録

新生児胃破裂は近年稀な疾患となったが,我々は1年間に4症例のべ5件を経験した.今後の新生児管理に生かすため,自験例の発生原因を文献的に考察検討した.全例が緊急帝王切開で出生した早期産未成熟児で,大弯側の破裂(3件),体部前壁の破裂(2件)は生後早期にみられた.いずれも新生児の胃壁に特徴的な解剖学的脆弱部であった.自験例では,周産期のdiving reflexによる胃壁血流障害に加えて,胎便栓による通過障害,甲状腺機能低下による機能的胃腸蠕動不良,臓器軸性胃軸捻等により胃内圧が耐容上限を超えたことが要因として考えられた.我々は,経時的に注意深く腹部所見の観察を重ねること,適正に上部消化管減圧を維持することの意義を再確認した.これらはNICUでは当然の管理であるが,新生児胃破裂の発症予防策としても重要である.

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