2020 年 56 巻 6 号 p. 1032-1036
症例は男児,在胎29週時の胎児超音波で羊水過多とtriple bubble signを指摘され,高位空腸閉鎖症を疑われていた.在胎35週2日に出生体重2,090 g,Apgarスコア5/8,経膣分娩にて出生した.出生後の腹部X線でもtriple bubble signを認めたが,上部消化管造影では十二指腸下行脚部分の囊胞が造影されず,注腸造影では回盲部がその囊胞に接していた.腹部単純CTでは囊胞と肝胆道系との関連はなく,上部消化管造影時の造影剤が囊胞内に貯留していたため,十二指腸狭窄と十二指腸閉鎖の合併および腸回転異常を疑い,1生日に開腹手術を施行した.輪状膵による十二指腸狭窄症と遠位側の十二指腸閉鎖症(Type II),腸回転異常症を認めた.ラッド靭帯を処理した後,輪状膵の上下で十二指腸十二指腸吻合し,遠位側の閉鎖部は側々吻合とし,手術を終了した.術後経過良好にて41生日に退院した.