2012 年 7 巻 4 号 p. 543-555
掘削に伴う斜面崩壊のメカニズムを解明するために,実大規模斜面掘削実験が数多く行われてきた。本論文では,Lagrange型のメッシュフリー法であるSPH法を用いて,実大規模実験の掘削初期から崩壊に至るまでの一連の過程の再現を試みた。SPH法は,連続体力学の枠組みで,地盤材料の構成式に基づいて,地盤の大変形を表現できる解析手法である。まず,解析手法の検証として,SPH法による斜面の安定解析を実施し,Fellenius法より得られた安全率による評価結果と比較し,妥当な結果が得られることを確認した。実大規模実験の再現解析では,実験と同様に段階的な斜面の掘削を行い,各掘削段階の斜面の挙動を再現した。特に,掘削開始から崩壊までの変形挙動に着目し,実験結果と解析結果を比較した結果,妥当な結果が得られ,解析手法の有効性を確認した。