2022 年 77 巻 5 号 p. I_173-I_180
2019 年 2 月 21 日に北海道胆振地方中東部地震の最大余震が発災した際,札幌市都心部においては公共交通の復旧を待つ人々が溢れ返った.積雪寒冷地においては冬期の発災シナリオを含めて発災タイミングの違いを考慮した帰宅困難者数の推定が緊急時の避難体制を構築するうえで必要不可欠である.従来,帰宅困難者数の推計に関しては,国勢調査とパーソントリップ調査を用いた事例が多く報告されている.しかし,各時間や遠方からの滞在人口を考慮し,各メッシュ単位における帰宅手段や活動目的別の分析はみられなかった.そこで本研究では,札幌市において PT 調査,携帯電話位置情報データ(モバイル空間統計)および各避難所や面積を用いて帰宅困難者数の推計を行い,帰宅困難者数の空間分布を可視化した.