土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第66巻
令和2年7月豪雨時に農業利水施設が球磨川流域の洪水流出・氾濫に与えた影響
早崎 水彩前川 勝人瀧 健太郎
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2021 年 77 巻 2 号 p. I_451-I_456

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抄録

 本研究では,令和2年7月豪雨で甚大な被害を受けた球磨川流域を対象に,中流部にある農業利水施設(幸野溝・百太郎溝)が洪水流出・氾濫に与えた影響を推定した.両水路は球磨川の左岸側を並走し,平面交差・立体交差・サイフォンなど多様な形式で支川群を横断する.降雨・流出~流下~氾濫の一連過程を表現できるモデルを構築し,両水路がある場合(現況)と仮になかった場合を想定し解析した.結果,両水路があることで,平面交差をしない支川では洪水が緩和されたものの,排水先支川では早い段階から水位が上昇し,本川ではピーク水位が僅かに高まった.また,両水路周辺では氾濫域が減少する一方で,本支川合流部に氾濫が集中する傾向も確認された.流域治水の計画にあたっては,長大な農業利水施設の影響は無視できず陽に考慮することが望ましい.

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© 2021 公益社団法人 土木学会
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