日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 835
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発表要旨
近世日本で作製された絵図のヨーロッパにおける利用
*鳴海 邦匡小林 茂
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抄録

鎖国後の日本に海外から地図や地理情報が導入されていたことは、これまでの研究によりよく知られている。これに対して日本で作製された絵図の海外への流出については、ケンペルやシーボルトの場合を除いてほとんど研究されていない。その背景には、日本人の地理的知識を重視する従来の研究視角のほか、流出した絵図やその引用文献が国内になく、研究が容易でなかったという事情がある。しかし今日では、海外の機関所蔵の日本近世絵図のカタログ化やデジタル化がすすみ、流出絵図の詳細な画像が検討できる場合も少なくない。また海外でそれらを直接調査することも容易になった。昨年の国際地図学会に際し茨城県の古河歴史博物館で行った「鎖国時代 海を渡った日本図」展ではそうした便宜を活用し、近世日本図に国際的な観点からアプローチした(小林ほか編2019)。これをベースに日本図以外の絵図も探索してみたところ、予想外に多くの例が発見でき、本発表ではその特色と発展過程を追跡する。

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