地質調査研究報告
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論文
東茨城台地に分布する更新統の新層序とMIS5-7 海面変化との関係:地下地質とテフラ対比による茨城層,見和層,夏海層,笠神層の再定義
山元 孝広
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2013 年 64 巻 9-10 号 p. 225-249

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抄録

東茨城台地を構成する更新統は,汎世界的な氷河性海面変化により形成された地層である.すなわち,この更新統は下刻した谷地形を埋める泥質のエスチュアリー堆積物とこれを覆う砂質の外浜堆積物から主に構成され,既存研究により“見和層” と呼ばれていた.しか し,“見和層”には複数回の氷河性海面変化が含まれるので,これを再区分して新しい地層名を設定する必要がある.本報告では公表されている霞ヶ浦導水トンネル沿い46ボーリング孔と北関東・東水戸自動車道沿い19ボーリング孔の岩相資料を検討し,東茨城台地更新統中に新たに6つの埋没河谷のあることを確認した.さらに,更新統の露頭から採取した9試料中の火山ガラスの主成分化学組成分析を行い,鬼界葛原テフラ(9.5万年前),赤城水沼8テフラ(13万年前),飯士真岡テフラ(22万年前),阿多鳥浜テフラ(24万年前)を検出している.これらの検討の結果,新たに上位から茨城層,見和層,夏海層,笠神層からなる更新統の層序を定義した.これらの地層の堆積時期は,それぞれ海洋酸素同位体比層序の5c,5e,7a-c,7eに相当する.

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© 2013 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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