地質調査研究報告
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論文
インドネシア・マタロコ地熱系のMT-1及びMT-2井から得られた流体包有物の研究
佐脇 貴幸村岡 洋文
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2002 年 53 巻 2-3 号 p. 337-341

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抄録

マタロコ地熱系のMT-1及びMT-2井から得られた流体包有物について,マイクロサーモメトリー及び化学分析を行った. MT-1井坑底部の流体包有物の均質化温度は,マタロコ地域の地質学的・地球化学的データから推定されている温度構造と一致する.しかしMT-2井坑底部の均質化温度データは,推定されている坑底温度(200℃)よりも20-30°C程度高い. 全ての流体包有物の塩濃度は低い. MT-1井坑底から得られた流体包有物についてのガス成分の半定量分析によれば,流体包有物の主成分はH2O であり,微量のCO2とCH4を伴う. これらのデータは,流体包有物が,本地熱系の浅部で,少量のガスを合む220-235°Cの凝縮水から形成されたことを示している. また,MT-2井に関しての,均質化温度 と水の沸騰曲線の比較から,地熱活動開始以降,本地域が少なくとも100m程度の浸食を被った可能性が示唆される.

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© 2002 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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