2018 年 34 巻 3 号 p. 155-159
挙児希望のある致死性の遺伝性不整脈Inherited Primary Arrhythmia Syndromes (IPAS)合併女性に対し安全な妊娠分娩管理を行うことは重要であるが,その分娩管理方針は未だ確立していない.IPAS合併母体妊娠分娩管理方針の根拠となる臨床情報を収集,蓄積しすることを目的とし,当院周産期センターにおいて2008~2016年に入院したCPVT合併母体3例(疑い1例)6出産,LQT2合併母体1例1出産について診療録を後方視的に検討した.全例小児循環器科医,産科医,麻酔科医,循環器内科医,新生児科医の連携による集学的妊娠分娩管理を計画・実施し,1例を除きβ-blocker内服下に在胎37週から38週台での予定帝王切開を選択し,母児共に重大な心イベントなく管理可能であった.IPAS合併母体の妊娠出産についてはまだ症例数が少なく,疫学的情報および症例の集積は重要であると考える.