日本小児循環器学会雑誌
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原著
胎児心臓超音波スクリーニング検査で発見された心疾患症例と見逃された症例の検討
山下 美智子日高 庸博林 周作入江 明美宮城 晶子河津 由紀子稲村 昇萱谷 太石井 桂介光田 信明
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2014 年 30 巻 2 号 p. 166-172

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抄録

目的:胎児心臓超音波スクリーニングで発見された心疾患症例と見逃された症例を検討し,検査の効果と問題点を検証すること. 方法:2008年4月~2012年3月に,当院で胎児超音波スクリーニングを受け分娩に至ったローリスク単胎妊婦を対象とした.検査陽性症例および偽陰性症例の内訳を診療録より後方視的に検討した.検査は妊娠18週前後,28週前後,36週前後の3回行った.
結果:対象期間の検査のべ回数は9,983回で,実症例数は3,817例であった.対象期間中に先天性心疾患と診断されたのは35例であった.出生前診断は15例(完全型心内膜床欠損2例,心室中隔欠損3例,大動脈縮窄,大動脈縮窄・心室中隔欠損,両大血管右室起始,修正大血管転位,血管輪,完全大血管転位,左上大静脈遺残・心室中隔欠損,三尖弁異形成,心室中隔欠損・三尖弁閉鎖,僧帽弁閉鎖・大動脈縮窄・心室中隔欠損・肺動脈弁狭窄が1例ずつ)であった.このうち18週前後に指摘し得たのは1例のみであった.28週前後での検出が最も多かったが,この時期での未検出例もあり,36週前後での再検も補完的な役割を果たしていると考えられた.検出断面については,四腔断面が15例中6例,流出路の観察を加えると15例中14例が検出可能であった.スクリーニング偽陰性は20例(心室中隔欠損16例,Fallot四徴症,肺動脈弁狭窄,心室中隔欠損・大動脈二尖弁,心房中隔欠損・肺動脈弁狭窄が1例ずつ)であり,生後早期に蘇生処置や加療を要したものはなかった.
結論:当院の胎児心臓超音波スクリーニング検査は先天性心疾患の出生前診断において良好な機能を果たしていると思われた.

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