(Na, K)ATPaseなどATPaseの阻害性成分が原索動物マボヤ(Halocynthia rotezi)の水抽出液中に存在することがわかり, その精製を試み性質を調べた. 阻害性成分は分子量5000以下のイオン性の低い物質であり, Sephadex G-10で分析すると2つのピークに分離した. どちらも(Na, K)ATPaseだけでなく, F1-ATPaseやHMM-ATPaseも阻害した. 2つの成分のうちの一方をさらに高性能液体クロマトグラフィーで単一なピークになるまで精製し, その性質を分析した. この成分は(Na, K)ATPaseを, 基質であるATPと非拮抗的に阻害した. またこの成分と(Na, K)ATPaseとの結合はかなり強く, 遠心洗滌では解離しなかった.