Journal of UOEH
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長期間(26か月)腹膜透析を施行しえた多発性骨髄腫の1例
瓜生 康平海津 嘉蔵阿部 理一郎織田 進千葉 省三江藤 澄哉鈴木 秀郎
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1984 年 6 巻 4 号 p. 391-396

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抄録

症例54歳の女性, 昭和54年2月腰痛で発症. 同年11月, 尿蛋白を指摘されて入院. Bence-Jones κ type多発性骨髄腫に伴う腎不全と診断された. 骨髄腫に対してcyclophosphamide, vincristin, prednisoloneの併用療法(Intermittent COP療法)を施行し, 腎不全に対して, 昭和54年12月より腹膜透析を開始した. これ以降肺炎で死亡するまでの26か月間, 腹膜透析による腎不全の治療を十分に継続しえた. 多発性骨髄腫に伴う腎不全は予後不良である. 本症に対する腹膜透析は, 原病による易感染性や近年の血液透析の進歩により施行されることは少なく, 長期生存例の報告はほとんどない. 本症例の長期生存は, 腹膜透析による腎不全のコントロールおよび骨髄腫に対する適切な化学療法によると考えられる. 骨髄腫は高齢者に多く, 血液透析が困難な場合があるが, 腹膜透析は高齢者でも施行しやすく, 今後積極的に応用しうると考えられる.

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© 1984 産業医科大学
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