Journal of UOEH
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尿中インドール酢酸の迅速定量法と悪性腫瘍における腫瘍マーカーとしての臨床的意義
小堀 一二榊原 博一丸山 勝也小林 利次八巻 敏雄
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1983 年 5 巻 2 号 p. 213-220

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抄録

癌の診断法としての尿中インドール酢酸(IAA)の迅速定量法を確立し, 腫瘍マーカーとしてのその臨床的意義について検討した. 試料として随時尿を用い, IAAの測定値をクレアチニン補正する方法により蓄尿の煩雑さを除いた. IAAの分析は高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により, 約10分で完了した. 尿中IAAは胃癌・食道癌・肝胆膵系癌等の上部消化器癌の他に,血液悪性腫瘍例で高値を示したが, 非癌例でも, 肝硬変症, 糖尿病, 胆石症例等に高値を示すものがみられた. IAA高値例では尿中5-ハイドロオキシインドール酢酸(5-HIAA), 尿中モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性値も高値であった. 原発性肝癌は尿中IAAのみ軽度上昇し, 尿中5-HIAA, 尿中MAO活性は正常を示したのが特徴的であった. 胃癌の肉眼分類では潰瘍形成癌で尿中IAAの陽性率が高く, その値も進行度に比例して上昇傾向を示していた. このことから, 尿中IAAは胃癌進行度判定のための指標として有用であると思われた.

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© 1983 産業医科大学
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