脳神経外科ジャーナル
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モヤモヤ病患者におけるreverse steal phenomenon
山田 圭介宮本 亨永田 泉菊池 晴彦石川 正垣滝 和郎山本 一夫米倉 義晴西沢 貞彦
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1995 年 4 巻 2 号 p. 145-150

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抄録

モヤモヤ病患者の脳血管拡張能を検査するため,14例に対してHM-PAOを用いたSPECTを施行し,acetazolamide負荷前後の脳血流量の変化を測定した.その結果,脳血管拡張能が障害されているものが13例あり,このうち5例ではacetazolamide負荷後にかえって局所的に血流が低下した領域も認められた(reverse steal phenomenon).これはacetazolamide投与により脳血管が拡張し血流量が増加した領域が,拡張能が障害されている領域より血流を奪うためと考えられた.つまり,reverse steal phenomenonが認められた症例では手術や検査や周術期管理において,安易なhypercapneaもまた局所的に脳血流を低下させ脳梗塞を引き起こす可能性があり,このような症例ではnormocapneaを維持するのがよいと思われる.

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© 1995 日本脳神経外科コングレス
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