2020 年 29 巻 1 号 p. 25-34
小児脳腫瘍は稀少疾患であり難治疾患であるため, 今後も明らかな治療に関するエビデンスが得られる可能性は低い. ただし, 実臨床に際してはエビデンスがないことを十分に理解したうえで, 治療の可能性を探る必要がある. 単に技量が優れているから治療を行うのではなく, そこには治療医の哲学, 十分な経験からくる評価があるはずである (いや, なければならない).
今回は小児難治性脳腫瘍のうち, 頭蓋内胚細胞腫, 視神経膠腫, 脳幹部腫瘍治療において, 直近5~10年間で 「何が変わり, 何が変わっていないのか」 を疾患概念・治療法などについて総括する. そして, 積極的治療の適応がないとされる難治性症例を提示しつつ, 稀少例, 難治例に対する治療の考え方を学ぶ機会となれば幸いである.