脳神経外科ジャーナル
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症例報告
症候性頚動脈高度狭窄症に対しlow flow bypassを先行することで頚動脈内膜剝離術後の過灌流症候群を回避できた1例
宮田 悠中原 一郎太田 剛史松本 省二石橋 良太五味 正憲坂 真人岡田 卓也西 秀久園田 和隆高下 純平渡邉 定克永田 泉
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2015 年 24 巻 1 号 p. 48-53

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抄録

 症例は61歳男性. 繰り返す一過性脳虚血発作で発症し, 左高度頚動脈狭窄症が判明, 脆弱で高容量のプラークであり, 頚動脈内膜剝離術の適応と判断した. 脳血流評価で同側大脳半球の広範な低灌流および脳血管予備能の高度な低下を認め, 術後に過灌流症候群発症の危険が高いと判断された. Low flow bypassの先行により血行動態の改善を得た後, 二期的に頚動脈内膜剝離術を行い, 術後過灌流現象を認めなかった. 直達手術の組み合わせによる段階的血行再建は過灌流症候群のリスク低減のうえで有用と考えられる一方, 二期的な手術となるため合併症率上昇の可能性があり, 各手技に習熟した医師による慎重な症例の選択に基づき実施すべきであると考えられた.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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