痛風と核酸代謝
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原著 1
Fluoresceinを用いた尿酸トランスポーター機能評価法の検討
中村 真希子安西 尚彦細山田 真市田 公美
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2012 年 36 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

近位尿細管に発現する尿酸トランスポーターurate transporter 1(URAT1)は糸球体からろ過された尿酸を血中に再吸収し,血清尿酸値の維持に寄与している.よってURAT1は血清尿酸値異常に関連する種々の疾病の治療標的として有用である.現在主流の機能評価法は細胞破砕液中の放射標識基質を測定する方法であるが,この方法はRI実験設備を必要とし,作業が煩雑である.さらに生細胞における輸送評価が不可能であるため,取り込みの経時的変化を評価することができない.
これらの背景から本研究では,簡便かつ生細胞を用いた評価も可能なトランスポーター機能評価法の開発を目的とした.今まで同定された尿酸トランスポーターの中からURAT1及び有機酸トランスポーターorganic anion transporter 1(OAT1)の2種をモデルとし,OAT1が認識することが知られる蛍光化合物fluorescein(FL)の輸送を指標として用いた.
細胞内に取り込まれたFL蛍光を定量した結果,URAT1もFLを細胞内に取り込む可能性が示された.また,蛍光顕微鏡下で観察した結果,OAT1及びURAT1発現細胞では,取り込まれたFLの蛍光が確認できた.系に尿酸を添加すると尿酸添加量依存的に蛍光強度が低下したことから,URAT1のFL輸送は尿酸と競合し,URAT1の輸送能の指標としてFLを利用できる可能性が確認された.以上より,細胞内へ取り込まれたFLの蛍光を指標として簡便に尿酸トランスポーター機能を評価する手法の有用性が示された.

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© 2012 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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