日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
Print ISSN : 0369-4305
ISSN-L : 0369-4305
原著
ヨード造影剤のシート化手法の検討
本田 道隆 草塩 英治石井 里枝
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 78 巻 1 号 p. 33-43

詳細
抄録

【目的】X線画像研究などにおいてヨウ素をX線被写体として容易に使用できるようにする目的で,ヨード造影剤に含まれるヨウ素がほぼ均一に付着したシートを作製する手法を開発した.【方法】最も推奨される手順は次のとおりである.(1)イオヘキソールを成分とする240 mg/mlのヨード造影剤原液を平らな面に約1.6 g添加する.(2)その造影剤を直径47 mmのメンブレンフィルタの2次側から浸潤させる.(3)約1分後に柔らかな紙などで余剰分を拭き取りそのまま自然乾燥させて使用する.【結果】この手法で形成したシートには約2.45 mg/cm2ヨウ素がほぼ均一に付着していることが確認された.ただし,周辺部は造影剤の凝集により若干高濃度になっているため,シート中央部の面積80%以下の部分を使用することが望ましい.【結論】このシートは重ねる枚数の調整によってさまざまなX線減衰率をもつ被写体を構成することができ,切断することにより空間的サイズや形状を任意に設定することができるため,ヨウ素を被写体とするX線画像研究や診断装置の性能管理などにおいて有効に使用されることが期待される.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人日本放射線技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top