2024 年 80 巻 4 号 p. 354-364
【目的】診療放射線技師(以下,技師)養成教育におけるX線撮影実習の指導内容は実臨床に即す必要がある.本研究の目的は,作成した胸部立位X線撮影実習用シナリオ,および指導項目の臨床的妥当性を,熟練技師の視線情報を用いて検証することである.【方法】われわれは熟練技師8名を評価者群(3名)と被験者群(5名)に分けた.評価者群は実習用シナリオと指導項目,および指導項目実施時の目安視線の組み合わせ(31項目)からなる検証モデルを作成し,被験者群は視線追跡デバイスを装着し,模擬の胸部立位X線撮影を施行した.評価者群は検証モデルの臨床的妥当性検証のため,被験者群の行動と検証モデルの適合を視線情報から評価し適合率を求めた.【結果】被験者群の行動にシナリオの順序を逸脱した例はなく,適合率91.6±6.70%を得た.【結語】本研究の検証モデルは熟練技師5名の行動と90%以上適合し,本研究のシナリオと指導項目の臨床的妥当性が示された.