日本放射線技術学会雑誌
Online ISSN : 1881-4883
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感染症対策における消毒薬が医用画像ならびに医療機器に与える影響に関する調査研究
荒木 隆博 立石 敏樹小林 隆幸田浦 将明松田 夏枝赤木 信裕金沢 勉
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論文ID: 2024-1425

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抄録

【目的】われわれは,感染症対策に使用する種々の消毒薬が医用画像や医療機器に与える影響について検討した.【方法】CT・マンモグラフィ(mammography: MMG)・一般撮影系において消毒薬の残存が医用画像に及ぼす影響について調査した.各種消毒薬を添付したアクリル円板を各撮影装置にて撮影し,視覚的評価ならびに画像信号値の変化を評価した.また,各メーカに対し医療機器の清拭方法に関するアンケート調査を実施した.【結果】CT・MMGにおいては画像上で視覚的に残存消毒薬を確認できた.一般撮影系ではその確認ができなかったが,一般撮影系の画像信号値は統計解析により有意差を確認できた.これは一般撮影装置における短時間撮影領域での非直線性の影響が大きく関与していることが考えられた.また,各医療機器メーカへのアンケート調査の回答から,医療機器取扱説明書に記載が及ばない詳細な清拭方法について把握することができた.【結語】放射線検査領域における医療機器の感染症対策に関する認識には差異があり,誤った管理方法を実施することで感染リスクの上昇や機器の腐食を招く恐れがある.また,消毒薬が医用画像に与える影響はモダリティごとで異なることが示唆されるため,感染症に対する放射線医療機器管理の再認識が必要と考える.

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