2022 年 78 巻 12 号 p. 1451-1457
Japan Network for Research and Information on Medical Exposure(J-RIME)は診断参考レベルを策定し,放射線防護の最適化を進めている.撮影線量の施設間での違いは自動露出機構(automatic exposure control: AEC)の調整がメーカ間で統一されていないことに由来している可能性がある.AECの安定性はJIS Z 4751-2-54で規定されているが,アナログ撮影装置の光学的濃度に対して対応しているため,ディジタル撮影装置のそれには適応できない.本稿はディジタル撮影装置におけるAECの安定性をAEC検出部の後面に配置した輝尽性蛍光プレートによるAEC推定線量(KAEC)で比較し評価した.われわれは3施設で4機種のディジタル撮影装置のAEC安定性(管電圧特性および被写体厚特性)を測定した.管電圧特性試験において,すべての管電圧によるKAECの平均値は,A装置は2.37±0.04 µGy,B装置は7.30±1.44 µGy,C装置は3.53±0.13 µGy,D装置は5.70±0.18 µGyで,相対誤差は,A装置は+2.6~−1.8%,B装置は+25.3~−22.6%,C装置は+5.2~−1.4%,D装置は+2.5~−4.4%であった.被写体厚特性試験において,すべてのAl厚によるKAECの平均値は,A装置は2.34±0.02 µGy,B装置は5.95±0.23 µGy,C装置は4.25±1.12 µGy,D装置は5.03±1.27 µGyで,相対誤差は,A装置は+1.0~−0.9%,B装置は+4.1~−5.0%,C装置は+40.5~−28.1%,D装置は+19.7~−42.9%であった.