頭頸部癌
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上顎(鼻・副鼻腔)
上顎洞原発扁平上皮癌T4症例の多施設による後ろ向き観察研究
本間 明宏林 隆一松浦 一登加藤 健吾川端 一喜門田 伸也長谷川 泰久鬼塚 哲郎藤本 保志岩江 信法大上 研二松塚 崇吉野 邦俊藤井 正人
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2013 年 39 巻 3 号 p. 310-316

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抄録

上顎洞原発扁平上皮癌T4症例について,わが国の治療内容の現状・予後を調査した。
【対象】2006年1月から2年間に研究協力施設28施設を受診した未治療の上顎洞原発扁平上皮癌T4症例。
【結果】128例登録され,根治を目指して治療を開始した118例(92.2%)について解析した。T分類はT4a:73例,T4b:45例であった。一次治療として,根治手術が39例に行われ,いわゆる三者併用療法のような上顎部分切除などの手術が25例に行われていた。手術を行わずに大量シスプラチンの超選択的動注療法と照射の同時併用療法が22例,静注の化学療法と照射の併用療法が19例,それ以外の非手術的な治療が13例に行われていた。全体の3年粗生存割合は59.9%,一次治療による原発巣の3年制御割合は51.0%であった。T4aN0M0(60例)およびT4bN0M0(36例)の3年粗生存率はそれぞれ74.0%,47.0%であった。
【結論】上顎洞原発扁平上皮癌T4症例のわが国の治療の現状,予後を把握することができた。今後の前向き試験の参照データとする予定である。

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© 2013 日本頭頸部癌学会
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