日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
Print ISSN : 0021-5287
Mainz pouch による尿路変更の経験
漿膜筋層剥離重積法による尿失禁防止の試み
森 義則藤末 洋細川 尚三荻野 敏弘辻本 幸夫藪元 秀典寺川 知良島 博基島田 憲次有馬 正明生駒 文彦
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1987 年 78 巻 4 号 p. 597-605

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抄録

現在のところ最もひろく行われている尿路変更法は回腸導管であるが, 生活の質という面からみると Kock pouch のような continent urinary reservoir の方がすぐれているように思われる. 最近西ドイツ・マインツ大学泌尿器科より発表された Mainz pouch はそのような continent urinary reservoir の一種であるが, 我々は最近5例の膀胱癌患者において Mainz pouch による尿路変更術を施行した.
回結腸部を空置し, 腸間膜と反対側を縦に切開し蠕動運動による内圧上昇が打ち消し合うように縫合しなおして pouch を形成した. 尿管の逆流防止のため粘膜下トンネルをつくり結腸に吻合した. Kock pouch と同様に自己導尿を行うストーマを形成したが, そのさい stapler は使用せず, 回腸の一部の奨膜筋層を剥離して重積させ nipple valve を作り失禁を防ぐ方法をとった. 5例中4例で尿失禁もカテーテル挿入困難もなく, きわめて満足すべき結果が得られた. Pouch の容量は330~460mlで, 内圧測定で低圧性の reservoir が形成されたことが確認された. Mainz kouch は尿路変更法としてすぐれた方法であると考えられる.

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