日本泌尿器科學會雑誌
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尿路結石の成因に関する研究
結石患者における尿中γ-カルボキシグルタミン酸の排泄量について
中村 章一郎白根 由美子平石 攻治黒川 一男
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1984 年 75 巻 5 号 p. 744-750

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抄録

われわれは, γ-カルボキシグルタミン酸 (以下 Gla) を多く含んだ蛋白質が, カルシウム (以下Ca) 含有結石中に存在することに着目し, 尿中 Gla がCa結石形成におよぼす影響を調べるため, 健常人とCa結石症患者の24時間尿中 Gla 排泄量を測定し, 男女別に検討した.
対照群男子 (n=24) の Gla 排泄量は48.6±8.8μmol/dayで, 対照群女子 (n=11) の36.6±6.4μmol/dayに比し高値であった (p<0.01).
Ca結石群男子 (n=41) では38.3±7.8μmol/dayで, 対照群男子より低値を示した (p<0.01).
Ca結石群女子 (n=30) は尿中 Gla 濃度が20.8±5.7μmol/lであり, 対照群女子の28.6±8.9μmol/lに比し低値であった (p<0.01).
また, 同時に, 尿中蔭酸, Ca, 尿酸排泄量を測定し, Gla 排泄量との関連性について検討したが, Ca結石群男子では, 排泄量において Gla と尿酸 (p<0.01), 濃度において Gla とCa (p<0.01), Gla と尿酸 (p<0.01) との間に相関を認めた.
Ca結石群女子においては, 排泄量において Gla と蓚酵 (p<0.05), Gla と尿酸 (p<0.05), 濃度において Gla とCa (p<0.01), Gla と尿酸 (p<0.01) との間に相関を認めた.
以上の結果は, 尿中 Gla がCa結石形成に対し抑制作用を有する可能性があると考えられた.

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