日本泌尿器科学会雑誌
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症例報告
Blandy法による尿道会陰瘻造設で自排尿可能となった陰茎癌術後新尿道口狭窄の1例
武川 和樹堀口 明男濱本 孔越平野 裕資畑中 弥奈新井 悠一尾島 健一郎新地 祐介淺野 友彦沼崎 進伊藤 敬一
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2020 年 111 巻 4 号 p. 164-168

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抄録

限局性陰茎癌に対する標準治療は外科的切除であり,陰茎断端もしくは会陰部に新尿道口を形成するのが一般的である.新尿道口はしばしば狭窄し,内尿道切開やブジー等の経尿道的処置を繰り返される例が散見されるが,効果は一時的であり,生活の質も低くなる.陰茎全摘術後の新尿道口狭窄に対し,Blandy法による尿道会陰瘻造設が有効であった症例を経験したので報告する.症例は72歳男性,陰茎癌に対して陰茎全摘除術および会陰部への新尿道口造設を施行された.術後に生じた新尿道口狭窄に対して尿道ブジーを繰り返されたが改善せず,尿閉のため膀胱瘻を造設され,追加治療目的で紹介された.残存した球部尿道は正常で,尿道長も十分であったため,Blandy法による尿道会陰瘻を造設した.会陰部に逆U字切開を加えて皮膚フラップを作成した.新尿道口および線維化した遠位の尿道海綿体を切除,残存した球部尿道を露出して腹側に4cmの切開を加えた.止血のため,4-0PDSにて開放された尿道粘膜と尿道海綿体白膜を縫合した.皮膚フラップ先端を開放した尿道の近位と縫合し,同部に緊張がかからないことを確認した.会陰部の皮膚と尿道辺縁を同様に縫合し,手術を終了した.術後第5日目に自排尿を開始した.術後16カ月現在,追加処置を要することなく良好な排尿状態を保っている.

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© 2020 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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