日本消化器外科学会雑誌
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術前部位診断しえた小腸毛細血管腫の1例
大島 富太郎嶋田 安秀楠 信也岩谷 慶照宮崎 直之北澤 荘平
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2002 年 35 巻 12 号 p. 1821-1825

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抄録

小腸透視によって部位診断しえた極めてまれな小腸毛細血管腫の1例を経験した. 症例は70歳の女性. 全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 強度の貧血の精査目的で当院を紹介された. 注腸造影, 上部消化管内視鏡検査, 腹部CTおよび消化管出血シンチグラフィでは出血を疑わせる所見は認められなかった. 大腸内視鏡検査にて, 盲腸および回腸末端部に血液の貯留を認めたため, ロングチューブ挿入後造影検査を行った. その結果小腸に径約1.5cmの類円形の陰影欠損を認め, 出血源がこの腫瘤であると判断して開腹手術を施行した. 術中所見ではトライツ靭帯より約3m, 回腸末端より約2.5mの小腸中央部に, 漿膜と腸間膜移行部に発赤を伴った柔らかい腫瘤を触知し, これを含めて小腸部分切除術を施行した. 切除標本では大きさ15×15×8mm, 弾性軟, 亜有茎の腫瘍であった. 病理組織学的所見は毛細血管腫と診断され, 悪性所見は認められなかった. 術後経過は良好で21病日に退院した.

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