日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
アガロースマイクロカプセル化異種膵ラ島移植
青松 幸雄中島 祥介金廣 裕道久永 倫聖瀧 順一郎高 済峯金 達也八倉 一晃大山 孝雄大橋 一夫西尾 和司山田 高嗣中野 博重
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 29 巻 4 号 p. 911-915

詳細
抄録

Discordant異種膵ラ島移植におけるアガロースマイクロカプセル化 (MC (+)) と15-Deoxyspergualin (DSG) 投与の併用効果につき検討した.雑種成犬単離ラ島を5%アガロースハイドロゲルにて, マイクロカプセル化した.6,000個膵ラ島を糖尿病BALB/cマウス, またはNODマウスの腹腔内に異種移植した.Mc (+) ラ島の平均生着日数はそれぞれ37.8日, 30.6日であり, Mc (-) 群に対し有意の生着延長効果を認めた.Mc (+) に少量のDSG投与を加えることにより, 平均生着日数は76.3日, 75.3日とさらに著明に延長した.Mc (+) 群のマウス抗イヌ抗体価レベルは, DSG投与の有無にかかわらず, 移植後50%以上となる場合も認めたが, 正常血漿糖濃度が維持され, 抗体はMc (+) ラ島に傷害をあたえなかった.アガロースマイクロカプセル化とDSG投与の併用による著明な生着延長効果を認め, 将来の異種ラ島移植におけるバイオ人工膵の有用性を示した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top