日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法著効後20年で発症した肝細胞癌の1切除例
廣畑 吉昭楊 知明中村 友哉加藤 達史岡村 隆仁
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2017 年 50 巻 7 号 p. 528-534

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抄録

 症例は63歳の男性で,1993年にC型慢性肝炎に対してインターフェロン(interferon;IFN)治療を施行され,ウイルス学的著効(sustained virological response;以下,SVRと略記)が得られたため近医で経過観察されていた.HCV-RNA陰性化後から20年経過した2013年6月にAFPとPIVKA-IIの上昇を認め,腹部超音波検査を施行したところ,腫瘤性病変を指摘され当院紹介となった.腹部超音波検査でS7に64×59×54 mm大の腫瘤性病変を認め,造影CTより肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;以下,HCCと略記)と診断し,肝右葉切除術を施行した.C型慢性肝炎長期SVR後のHCC発症例は近年散見されるが,その臨床病理学的特徴は依然として不明である.C型慢性肝炎に対して,20年という長期にわたりSVRが得られていたにもかかわらずHCCを発症した切除症例を報告する.

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